2000年4月の開学以来、定員割れが続いている福知山市西小谷ケ丘の成美大学を存続、発展させるため、市民有志が「成美大学の公立化を求める市民の会」を発足させた。6月初旬には、松山正治市長に市立化への要望書を提出する予定で、「入学者数を増やす抜本策に」と、早期の実現を求めることにしている。
■2000年の開学当初から定員割れ続き■
成美大(旧京都創成大)は、市が約27億円を支援する「公私協力方式」で開学。高校野球の強豪・福知山成美高校と同じ学校法人が運営し、地域経済の活性化につながるものと、市民の期待は大きかった。
しかし、当初から学生が思うように集まらず苦戦。10年には大学評価の第三者機関である大学基準協会から、大幅な定員割れや専任教員数の未充足などの指摘があり、「大学基準に適合していない」と判定された。
この影響は大きく、11年からは入学者数が100人に満たない状況となり、近年は億単位の赤字を計上。教員の補充や広報態勢の強化など、改革を推し進めてきたが、安定した学生数の確保には至っていない。
「北近畿唯一の4年制大学を守りたい」。その思いで立ち上がったのが、自治会長会会長の西田輝雄さん▽市老人クラブ連合会会長の香月芳雄さん▽前市社会福祉協議会会長の浅尾勝次さん。
3人は、若者の定住が期待でき、地域発展の拠点となりうる大学を、今後も存続させる必要があるとし、安定した経営が可能で全国的に成功例も多い「大学の市立化」を、松山市長に求めることにした。
しかし、目標を達成するには「市民の団結が必要」であることから、まずは市内の各団体に参加を呼びかけ、4月17日に組織結成の準備会を開き、その日のうちに正式に市民の会を発足させた。
市自治会長会や市老連、福知山青年会議所など25の団体・個人が加盟し、会長に西田さん、副会長には浅尾さんと香月さんが就いた。
また5月9日に開いた第1回総会では、意見交換のほか、各団体で要望書の提出について承認を得ることを決定。16日の第2回総会で、その進ちょく状況を確認した。
16日現在、会に加盟しているのは32団体と2人になり、すでに各団体内で要望書提出の承認を得られたのが半数以上。そのほかの団体も、5月末までに取りまとめる予定にしている。
■信用と信頼度向上など狙う■
浅尾副会長は「会のメンバーは、『公共財産としての大学を、これからも生かしたい』という気持ちを共有している。市立化すれば、成美大の信用と信頼度が増し、不適合判定からのイメージ転換ができる。それによって、地元学生の都会流出に歯止めがかかり、他地域からのさらなる流入も見込まれる」と話す。
また思い描く未来像として、介護福祉士や教職員などの資格や免許が取れる学部の新設▽卒業後に地元の企業へ就職し、活躍できる人材の育成−などを挙げている。
これらを実現するためには、「地域の課題を解決できる大学づくりへ、市民の総意で取り組むことが必要になる」と、市立化への理解を広く呼びかけていくという。
写真上=厳しい経営が続く成美大学
写真下=成美大の市立化に向け協議を続けている(16日の第2回総会)
[PR]
株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232
著作権
このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。