鉄道の魅力を子どもたちに伝えたいと、元JR社員、伊藤成光さん(71)=福知山市正明寺=が、多くの人を乗せて広場を走らせることができるSLや電車のバッテリーカーを作り続けている。これまでに仕上げたのは約20両。いまは北近畿タンゴ鉄道(KTR)の観光型リニューアル車両「あかまつ」「あおまつ」を制作中で、26日から2日間、福知山城下・にぎわい創出施設ゆらのガーデンで開かれるオープン2周年記念イベントでデビューする。
■ゆらのガーデンで26日にデビュー■
伊藤さんは現役時代、ほとんど事務系の仕事だった。それでもSLの巨体が生き物のように走る躍動感あふれる姿がたまらなく好きで、40歳のころから鉄道模型の手作りを始めた。
退職してからは日中、旋盤や溶接機などを備えた自宅近くの作業場にこもりっきりの日々。電動車いすのモーターを動力源にC62、新幹線700系、特急電車こうのとりなどを次々に完成させ、地域や保育園などで開かれるイベントでの乗車会で引っ張りだこになっている。京都市や兵庫県豊岡市などからも出張依頼がある。
「あかまつ」「あおまつ」は、沿線風景に溶け込む赤、青を基調とした洗練された外観と、木材をふんだんに使った温かな内装で、人気を集めて集客増につながっている車両。
伊藤さんはリニア新幹線の車両を作る計画を温めていたが、正月に家族で団らんする中で「地域で親しまれている車両を作っては」との声があり、予定を変更した。赤字が続くKTRのPRに役立てればとの思いもある。
写真をもとに独自に設計図を作成。実物の約8分の1の大きさで、長さ約2・4メートル、高さ約1メートル、幅約80センチ。車体はベニヤ板などを使って組み立て、実物に近い質感を持たせるため多くの場所に鉄板を張った。正面のライトも点灯するようにした。
今回は、モーターをこれまで使っていたものから変更し、スピードの微調整ができ、一層力強く安定した走りができるという。今後、1両に子どもなら6人−8人程度が乗れる座席を取り付け、赤色、青色の塗装をし、金色のラインを入れて完成させる。
伊藤さんは「キットを組み立てるのではなく、試行錯誤し、一から手作りするのが楽しい。ほとんど廃材を利用しているので、費用はわずか。なるべく本物に近い仕上がりになるように工夫しています。子どもたちが喜んでくれるのが何よりうれしく、今後も地域のイベントなどで使ってほしい」と話していた。
写真=あかまつ・あおまつ車両の大型模型を作る伊藤さん
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