福知山市中、臨済宗南禅寺派・養泉寺で定期的に営まれている観音講が、13日の回で100周年となる。観世音菩薩の功徳、妙力を説いた経を講じる法会で、食糧難の戦時中を除いてずっと地区の檀家が食事を作ったりして続けてきた。記念に、第1回の講で余興として行われた蓄音機による音楽鑑賞をする。
十一面観世音菩薩を本尊とする養泉寺の観音講は、今から3代前の景洲和尚が就いていた1914年(大正3年)2月2日に始まった。以後春と秋の年2回営まれ、今回で184回目となる。
毎回、中地区の檀家らが出席。布教師の説教を聴き、ご詠歌を唱え、食事をしたりする。檀家の楽しみの場でもあり、蓄音機での音楽鑑賞や浄瑠璃上演、スライド上映などの余興もあった。
講を計画するのも地区の檀家の人たちで、世話人の女性2人が仕切る。食事「御斎(おとき)」の支度は女性たちが担当。自宅にある食材を持ち寄り調理する。近年は春にまぜご飯、にしめ、あえ物、秋はばらずし、にしめ、酢ずいきを作ることが多い。
これまで営まれてきた講の歴史は「観音講開教記録」に残っていて、布教師の名前や参加人数、世話人の名前、御斎の献立、余興の内容などが細かく記されている。歴代住職が記録し、現在の一常宗玄住職(59)も、寺に就いた1984年から付けている。
■記念に蓄音器の音楽鑑賞も■
13日は発会100周年記念として開催。午前11時から御斎があり、そのあとご詠歌を唱える。午後からは法要に続き、蓄音機でのレコード鑑賞、福井県小浜市の臨済宗南禅寺派・圓照寺の村上宗博師が説教をする。今回は記念の手ぬぐいを作り、地区檀家に配る。
今年の世話人の足立孝子さん(70)と塩見啓子さん(67)は「出席人数が当日にならないと分からないこともあり、世話をするのは大変ですが、みんな和気あいあいとやっているので、今まで続けてこられました。これからも力を合わせて頑張りたい」と言う。
一常住職は「観音講をする寺が少なくなる中で、続けている寺でも檀家らが食事を作り食べる行事をしないところがある。養泉寺では地区のみなさんが先祖供養をしようという思いが熱く、観音講の継続につながっています。本当にありがたい」と感謝している。
写真=観音講の歴史を記した記録を眺める一常住職
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