「火気に関する豊富な知識、経験があったにも関わらず、安易に携行缶のふたを開けて何の落ち度もない多数の人を死傷させた。軽率な行動が原因で、未曽有の事故を起こした過失は極めて大きい」。福知山花火大会屋台爆発炎上事故業務上過失致死傷罪の第５回公判で、検察側はそう断じ、禁錮５年を求刑した。

　検察側の論告では、多くの死傷者を出す極めて重大な事故を起こした▽被害者や遺族、家族に一生消えることのない心の痛みを与えた▽携行缶を不用意に扱った過失は重大▽賠償に向けた行動が全く見られず、具体的な動きがなく、反省が見られない−とした。

　さらに、発電機と携行缶を最終的に第三者が近づけたことによる過失の軽減を訴える被告側の主張については「第三者が動かした後の時間はわずかで、それだけで事故が起こるような高温になるとは考えにくい」と断じた。

　これに対して、被告人の弁護士は「大惨事が起きた結果については異論を挟めないが、故意に引き起こしたわけではなく、全ての過失が被告人にあるとはいえない」と主張し、情状酌量を求めた。

　最後に証言台に立った渡邉被告は「大変申し訳ありませんでした」と頭を下げた。