観客3人が死亡、54人が重軽傷を負った昨夏の福知山花火大会屋台爆発炎上事故で、業務上過失致死傷罪に問われている火元の屋台店主で建設作業員、渡邉良平被告(39)=大阪市天王寺区=の第4回公判が6日、京都地方裁判所(樋口裕晃裁判長)であった。起訴事実を認めている渡邉被告は、被告人質問で「一生かけて償いたい」と改めて謝罪したが、量刑をめぐって争っており、「警備員に観客を屋台後ろに座らせないでほしいと頼んでいた」「発電機とガソリン携行缶の距離が、気づかないうちに至近距離になっていた」と供述した。
起訴状によると、渡邉被告は昨年8月15日午後7時30分ごろ、福知山花火大会の観覧席で発電機に給油しようと、高温になっていた携行缶のふたを開け、ガソリンを噴出させて爆発事故を起こし、軽症者らを除いて51人を死傷させた、とされる。
弁護人の質問に対して、「給油時に携行缶のふたが自然に飛んだ」との当初の供述を「自分がふたを開けた」に変えたことについて「事故直後に入院してから、痛み止めなどの薬の投与を受けていて意識がもうろうとしており、自分が開けたと思い出して確信を持てるまでに時間がかかった。その後、怖くなって言いづらかった」と弁明した。
福知山花火大会への出店は4回目で、過去3回は雨模様で観客が少なかったが、昨年は天候がよく、「予想外の人出で、警備員にあんまり屋台の後ろに観客を座らせないようにしてほしい」と依頼したと述べた。
屋台の近くに置いていた発電機と携行缶の距離については、30センチ−50センチ開けて置いたとし、「事故直前に給油しようとしたときは、発電機と携行缶が2、3センチまで近づいていた」と主張。だが「そこまで携行缶が熱くなっているとは思わなかった」と説明した。
ガソリンが霧状に噴出した点については「予想できず、何とか止めようと必死で給油口を押さえたが、止まらず、河川敷の空いたスペースへ持っていこうとしたところ屋台の火に移ってしまった」と話した。
「店を切り盛りしていた3人のうち、妻とアルバイトの2人の体調が悪く、早く発電機に給油をして店に戻ろうと焦っていた。多くの方々に迷惑をかけて申し訳ない。一生をかけて償っていきたい。許されることなら謝罪文を被害者の方に送りたい」とした。
■管理ミスは認める■
続いて検察官が、渡邉被告が以前務めていた造園土木の仕事の親方から、携行缶は日陰に置くように指導を受けていた点を追及。渡邉被告は「午後3時までは屋台の日陰に置いたが、夕方になれば大丈夫と思い、日なたに移動させた」と説明し、さらに、「観客に発電機の線に気をつけるように言い、注意の呼びかけを頼んだ警備員も『上に報告する』と返答した」と答えた。
人命より商売を優先させたことになるのでは、との問いには「結果的にはそうなってしまった」と悔やんだ。
被害者参加制度を利用した代理人弁護士に、事故原因を聞かれると「自分の管理ミス」と認め、被害者に対する思いについては「自分の行為で人の人生を終わらせてしまった。被害にあわれた方に、不自由な生活をさせてしまい、申し訳ないと思っています」と述べた。
20日に論告・求刑、最終弁論があり、結審する予定。
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