昨秋の台風18号で集落の大半が浸水被害にあった福知山市土(つち)地区で、地元住民らでつくる土森林組合(田中稔組合長理事)が、高台に新たな避難所として使える森林会館を建設している。工事はほぼ完成しており、近く引き渡しを受ける。
■長期滞在視野に設備充実 地元森林組合が高台に■
昨年9月16日から17日にかけて、土地区は約140戸のうち約100戸が浸水。由良川側の低い住宅地はなすすべもなく濁流にのまれた。
避難所の土公会堂も低い位置にある。浸水は免れたが、目の前の道路は冠水した。築50年以上経過していることもあり「避難所として大丈夫なのかとの不安はある」と住民たちはいう。
土森林組合が森林会館建設を計画したのは、10年以上前。当初は公会堂横に建設予定だったが、いったん計画は立ち消え、3年前に再び話が持ち上がった。10年前の台風23号を経験して、建設予定地を公会堂から約10メートル上の高台に変えた。ここは昨年の台風18号時にも水はこなかった。
森林会館は、組合所有の約3700平方メートルの敷地に建て、鉄骨平屋建てで延べ床面積約370平方メートル。お年寄りや車いすの人も使いやすいユニバーサルデザインで、入り口や通路は広めにとっている。約50畳と約20畳の広間、8畳の和室2室、調理場、組合事務所などがある。災害時の長期避難を見据えてシャワー室も備えた。外は駐車場と広場を整備する。
徒歩で避難しやすいように、低い住宅地から会館へと向かう坂道の勾配を緩やかにする工夫もした。
総事業費は約9500万円。組合所有財産などを活用した。
住民全員が組合員というわけではないが、田中組合長理事(77)は「組合員にこだわらず、できるだけ地元住民に使ってもらって役立つ施設であるべき。非常時の避難所として、また日ごろの元気で明るい村づくりの拠点となればうれしい」と期待を込める。
2月11日午前10時から、現地で竣工式を行う。
写真=災害時の避難所にも使える森林会館(右)。土公会堂(左下)より高台に建設して水害から住民の安全を守る
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