上方落語協会が定席の繁昌亭(大阪市北区)で活躍する落語家を表彰する「第8回繁昌亭大賞」の創作賞に、福知山の女性落語家、桂三扇さん(44)が選ばれた。18日に繁昌亭で表彰式があり、三扇さんは「今まで以上に稽古に身を入れんなんです」と気を引き締め直した。
甲南女子大在学中の1992年、6代目桂文枝(当時三枝)さんに入門し、上方落語で3人目の女性落語家に。男性が演じる話芸として磨かれてきた落語を女性が演じる難しさは大きく、苦悩しながらの高座が続いた。そんな三扇さんを支えたのは、先輩たちと地元の人たちだった。
落語に取り組む真面目な姿勢がかわれ、先輩たちは何かと応援してくれた。直接のアドバイスや、後ろ姿から多くのことを学ばせてもらった。
地元の人たちは「福知山出身の落語家をみんなで育てよう」と、勉強(出演)の場として市民手づくりの「ふくち寄席」を開いてくれた。スタッフの熱意が大御所らの来演につながり、会場の福知山市民会館ホールは毎回満席になる人気ぶり。回を重ねて昨年で23回となった。
当初は大阪を拠点に活動。固さが目立った高座も、福知山を拠点にして2児を育てながら各地を飛び回るようになると、落語に生活感が出だして話に厚みが生まれ、客席が安心して笑えるようになってきた。
中堅と呼ばれる今も「稽古が大事」の姿勢は変わらない。古典落語を大事にしつつ、文枝師匠の創作落語に意欲的に取り組む。得意のネタは、高齢者同士の再婚を題材にした「シルバーウエディングベル」、3回目の結婚式をあげるカップルの「又も華々しき華燭の典」など。場面、場面をゆかいに描写し、年配の登場人物の演じ分けも板に付いてきた。
上方落語振興のためにと設けられた繁昌亭へは、「ギャラより高い交通費」という笑い話を地でいく環境ながら、声がかかるたび出演しており、昨年も20回近く出演。「遠い福知山から、よう通うて来てるなと、同情票で賞をいただいたのでは」と三扇さん。「いま創作と呼ばれている話も、いずれ古典になります。師匠の作られた話をしっかり受け継いでいきたいです」。それが多くの人に支えられたことへの恩返しでもあるという。
写真=上方落語協会長の桂文枝さんから表彰を受けた三扇さん=右=ら繁昌亭大賞の各賞受賞者(やまだりよこさん提供)
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