観客3人が死亡、54人が重軽傷を負った昨夏の福知山花火大会屋台爆発炎上事故で、業務上過失致死傷罪に問われた火元の屋台店主で建設作業員、渡邉良平被告(39)=大阪市天王寺区=の第2回公判が14日午後、京都地方裁判所(樋口裕晃裁判長)であった。検察側の証人として出廷した火災を研究する大学教授は「開栓前に圧抜きバルブを緩めていれば、今回のように大量のガソリンは噴出しなかっただろう」との見解を示した。
証人として出廷したのは、火災時の避難経路や火災原因などの調査を専門とする諏訪東京理科大学の須川修身教授で、検察側と弁護側の尋問に答えた。
須川教授は、府警による事故再現実験のデータや事故現場写真をもとに、「事故当時、ガソリンの温度は70度に達していたと思われる。この状態で開栓するとガソリンは高さ6〜7メートルまで噴出する」と説明し、「ガソリンが広範囲に飛散し、4メートルほど離れた場所にあった屋台の(鉄板の)火に引火したのだろう」とした。
さらに「リスクを回避するためには、携行缶を炎天下に置いたままにすべきではなかった。給油を断念するか、圧抜きをするのが当然だと思う」と指摘した。
最後に渡邉被告の弁護人は「事故当時の風向きや被告が持ち上げた携行缶の方向など、さまざまな要因が事故には関係している。被告の過失の程度は斟酌する余地がある」と述べた。
起訴状では、渡邉被告は昨年8月15日夜、花火大会会場の由良川河川敷にベビーカステラの屋台を出店。携行缶から発電機に給油しようとした際、携行缶が直射日光や発電機の排熱で高温になり、内圧が上昇していたのに漫然とふたを開け、噴出したガソリンが屋台の火に引火して爆発炎上し、多くの死傷者を出したとされる。
渡邉被告は初公判で起訴事実を認めているが、弁護人は「爆発した携行缶は第三者が発電機の近くに移したことから高温になり、爆発しやすくなった」として情状酌量を求めている。
3回目の公判は2月3日にあり、渡邉被告の妻や同業者の証人喚問が予定されている。結審は2月20日の見通し。
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