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両丹日日新聞2014年1月14日のニュース

農地荒らすシカをジビエに 京都府が利活用プロジェクト

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 シカ、イノシシなど野生鳥獣の肉「ジビエ」で地域の活性化をと、京都府は中丹ジビエ利活用プロジェクトをスタートさせることにした。その開始にあたり、キックオフセミナーを27日に福知山市土師のホテルロイヤルヒル福知山&スパで開く。

■提供店増やしメニュー開発■

 中丹地方では、増えすぎたシカ、イノシシなどによる農林業被害が深刻。特に山間部では集落の存続にかかわる問題にすらなっている。そんな中、有害鳥獣駆除や狩猟で捕獲したシカ、イノシシを食肉加工処理する施設が、福知山市に昨春整備された。

 開設したのは農作業受託や農産物の加工販売を手がけている有限会社田舎暮らし。「地域の農業を守るために」と夜久野町門垣に建設。昨年3月に完成し、5月から稼働を始めた。

 社長の中島健太郎さん(38)は会社勤めから転職して01年に就農。しかし「水稲も特産の黒豆も、みんなシカにやられる」という被害に直面した。防除ネットや柵を張り巡らしても侵入してくるシカ。農作物を守るには「駆除するしかない」と、狩猟免許を取って捕獲するようになった。

 多い時には一人でも月に20頭を捕獲。集落によっては捕獲後の埋設場所に困るほどで、「なんとか活用したいというのが願いでした」と話す。

 処理施設で扱う肉は、わな猟か捕獲柵でつかまえたシカのみ。わなの設置場所も地形などを限定している。「捕獲時に暴れたり、転げ回ったりすると肉に臭みが出るから」だという。食肉処理の方法によっても味に影響が出てくるため注意を払う。

 こうして処理した肉は、試食のたびにおいしさを分かってもらえ、京都市内のフランス料理店へ出荷するなど、販路が広がりつつある。

■脂身の少ないヘルシー食材■

 柔らかく、牛肉に比べて脂身が少なく、淡泊な味わいのシカ肉。ヘルシーな食材として注目されるようになってきた。欧州で貴族の伝統料理として愛されてきた「ジビエ」という言葉が、日本でも知られるようにもなってきた。府は今後、ジビエ料理を提供する店を増やしたり、おいしいメニューを開発して需要を掘り起こし、有害鳥獣を資源として生かしていくことにしている。

 キックオフセミナーは午後2時30分から4時30分にかけて。初めに中島さんがシカの捕獲、ジビエの地域資源としての可能性などについて講演。続いて試食会をする。調理するのは会場ホテルの西洋料理長、吉野国男さんと篠尾のスペイン料理店ラボラトリのオーナシェフ、西村純一さん。試食後に意見交換・質疑をする。

 対象は中丹地域の飲食業、加工業関係者。先着50人を17日まで受け付けている。問い合わせは中丹広域振興局農林商工部企画調整室、電話0773(62)2859。


写真=赤身が多く柔らかいシカ肉。中島さんが丁寧に食肉処理していく

    

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