福知山市夜久野高原にある府緑化センター玄関前の築山に植わる由緒あるシダレザクラを、風雪などから守る取り組みが今季から進められている。樹木の幹付近に柱を立て、頂から主な枝にステンレスワイヤを放射状に張り、枝折れを防ぐ。金沢市の兼六園などで冬の風物詩となっている「雪吊り」とは違い、年中対応する「吊り支柱」と呼ぶ試みだ。京都府、兵庫県の樹木医5人で組織するグループが名木を守る活動の一つとして設置した。
緑化センターはアプローチに沿って植わる八重紅シダレザクラが有名だが、1992年4月に植えられた築山のシダレザクラも、枝ぶりがよく、花見客の人気を集めている。京都市の円山公園の名木を接ぎ木して育てたもので、当初は高さ3メートル程度だったが、現在は7メートル近くに成長し、開花時には枝が広がるように垂れ下がり、優美な姿をみせている。
今までは剪定作業などを繰り返しながら害虫の駆除を徹底してきたため、枝折れの被害が出たことはなかったが、枝張りを一層豊かにするため、緑化センターで働く綾部市の樹木医、伊藤武さん(75)がグループのメンバーにも呼びかけて、防止対策を相談。「吊り支柱」を設置することにした。
枝折れ防止対策としては、主な枝の下を直接支える方式が多いが、重みが1点に集中するため、逆効果になる場合があるという。一方、吊り支柱は、ワイヤを枝に取り付ける部分をリング状にし、普段は10センチ程度の余裕を持たせて枝に負荷をかけず、樹勢が衰えないようにしている。積雪時や台風時、葉が茂ったときなどに吊り上げる状態になる。
昨年11月15日に設置作業をし、直径10センチ程度、長さ8メートル余りのヒノキの支柱を幹に沿って立てたあと、主な枝に長さが7メートル前後のワイヤ約20本をそれぞれリング状にして結んだ。
伊藤さんは「今回設置したシダレザクラの場合は、葉がつくと約300キロ、雪が降り積もって凍結した場合は1トン近い重みがかかると思うが、枝に固定していないので1点に重みがかかる時間が少ない。10日朝には30センチの積雪となりましたが、たるんでいたワイヤがピンと張り、効果が確認できた」と話していた。
写真上=放射状にワイヤが張られたシダレザクラ
写真下=枝にリング状にして取り付けたワイヤ
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